良いものづくりへの信念を貫く野口さんに深く共感しています。

㈱京都鳩居堂 代表取締役社長

熊谷 直久 様

  • 商品との素敵な出会いを

  •  当社は1663年、京都の寺町で漢方薬や薬の原材料などを扱う「薬種商」として創業しました。薬種には、お香の原材料と共通するものが多く、1700年頃からは薫香や線香を製造・販売するようになりました。
  •  1877年、当社のお香の製造技術が飛躍的に進歩を遂げることとなります。歴代の店主らの社会奉仕や国事事業への貢献が認められ、太政大臣・三条実美公より「秘伝の調香法」をすべて伝授していただいたのです。これらは平安時代から900年間にわたって宮中だけで伝えられてきたものでした。それ以来、この調香法を「一子相伝の秘方」として今日まで大切に守り伝えており、現在のお香づくりにおいても、その技術を存分に生かしています。
  •  歴史を重ねる中で、筆や墨、和文具、雑貨小物など多種多様な製品を製造・卸・販売するようになりました。お客様が求められるものを取り揃えていった結果です。人気商品ばかりでな く、「やっと鳩居堂で見つけることができた」「鳩居堂にはやっぱりあった」と言っていただけるような希少なものも大切な商品です。香道や書道の本格的な道具などをお客様が当店で初めてお知りになり、興味を持ってご覧いただいているお姿もうれしいものです。
  • 様々な考えを取り入れる

  •  弊社がこだわっているのは、ものづくりです。お客様に喜んでいただけるものをつくるために、良いと思うことは積極的に取り入れています。実際に試してしっくりとこなければ、すぐに切り替えて次のことを考えます。
  •  あえて言うほどのことでもないのですが、ずっと続けていることの1つは掃除です(笑)。これも大切な仕事だと知りました。毎朝、全社で20分間、掃除を行います。お香や線香の機械は、製造する時間よりも長く掃除をするほどです。そもそも工房は粉を扱うので、きれいにする必要はあるのですが、より丁寧に掃除をするよう心がけています。職場を整理整頓すれば、見やすく、作業もしやすく、モチベーションも上がります。
  •  経営において力を入れていることは、どの企業様も似ているのではないでしょうか。鳩居堂独自の経営法のこだわりは特にありません。 ただ、ものづくりにおいてはこだわりがあり、受け継ぐもの、伝え残すものがあります。
  • 素材に妥協はない

  •  8年ほど前から本店や新しい店舗、事務所・倉庫棟などの大規模な建て替えに約100年ぶりに着手し、施工をすべて野口さんにお願いしました。野口さんと当社は、素材へのこだわりなど共感することが多くあります。安い素材には理由があるもので、そこを妥協して帳尻を合わせるといった選択肢はありません。だからこそ安心してお任せできるのです。
  •  店舗の複雑で繊細な天井はもちろんのこと、難しい施工でしたが、野口さんの技術で見事に仕上げてくださいました。これらの建物は、これからの100年、また新たな景色をこの京都寺町に刻み、受け継いでいくことができればと思っています。
  •  すばらしい店の空間に合う良い商品をたくさん開発し、さらにもっとお客様に喜んでいただけたらと願っています。